fatimariaの日記

誰からもコメント無いのでコメント停止しました。連絡はメールで。

全知者の苦悩

未来予知を得たものは、「避けられない運命(避けられない事実)」に気付いたに過ぎない。
未来予知がすごいと勘違いしていたものは未来を予知したとき後悔する。
善悪の知識の実も、食べないうちは美味しそうに見えるのだ。食べてから後悔する。
未来予知したものは、避けられないタイムリミットを見ている事しかできない無力さを知るのだ。
自分が足掻いても結果は同じ、足掻いた事によってその結果となる事にも気付く事になる。
全知者、全能者(=全知者)、全知全能者は、その無力さを抱えて過ごしているのだ。
いつでも、何をしていても驚きや発見が無い。
知を失いたいと思うだろう。しかし知を失うかどうか、もし失うとしたらその後どうなるかも知っている。
そのようなものが、何かしようとか思うだろうか?
淡々と運命に従順に従うと思いませんか?シーシュポスの毎日の仕事である徒労のように。
下らない世界を、廃人のように過ごす事になる。喜びもつかの間である事を知っている。
シーシュポスは岩が結局転げ落ちる事を知っている。でも持ち上げなければならない。
全知者は何回目にどう転がるかの軌道も時間も全部知っている。
 
知を極めたものは運命に従う。
過去・現在・未来の「運命(事実)」が壊れない事に気付いた全知能力者は。
絶対服従だ。
運命(事実)に抗っても結果は同じだからだ。
運命(事実)が壊れない事は自分の全知能力が証明している。
確実にそのとおりになる事を予め知っているから予知なのだ。
しかも幸(自分の十字架。強制力)は重く重くのしかかるだろう。
 
全知能力者は自分とあらゆるものの、あらゆる物の、あらゆる者の、悠久の輪廻転生のすべてのシナリオを知っている。
神々が人間のように死ぬ事は聖書に書いてあるとおりだ。
不正(不義)であるアーリマン(インドラ。天主。父なる神)の時代が終わらなければ、阿修羅マズダの善の世界ははじまらない。
生きながら食われるシーンもあるかもしれない。レイプされるシーンもあるかもしれない。
何故生きながら食おうとするかも知っている。何故相手がレイプしようとするかの動機も知っている。
あらゆる立場のものの数々の屈辱の日々をあらかじめ知っている事の苦しみから解き放つ者はいない。
 
哀れな全知能力者。
あらゆる、過去・現在・未来の、
知恵(ホクマ。コクマ。天王星の領域)も、
知性(ビナー。土星の領域)も、
知識(ダアト。冥王星の領域)も、
認知(ミタ)も、
すべて知識(ダアト。冥王星の領域)の中に入っている者。
それが「すべてをすでに知っている」という事。
あらゆる下らない事や、あらゆる価値あるとされる知識や、あらゆる下品な事や、あらゆる高尚な事も、すでに知っている。
託宣の巫女に聞くまでもない。
すでに発端もプロセスも結果も知っている。
 
運命(事実)そのものは、過去が過去に、現在が過去に、未来が現在に、未来が未来に、動いているだけ。
機械と同じだ。
運命(事実)がどんな言動をしようと、レールから脱線する事はない。
すべてすでに記録されたものを再生しているだけだ。
 
再生されるものが再生する度に少しずつ変化する事は無い。
パラレルワールドとしてそういう世界があったとしても、
今現在の我々がいるこの世界の再生内容そのものは変化したりしない。
パラレルワールドの他の世界は他の世界として、この世界はこの世界として、過去・現在・未来の事実が存在する。
未来を変えるといきまいていても、もしも未来が変わったその世界こそが、この世界の姿なのだから。
たとえばパラレルワールドがあるとして未来が嘆かわしいので他の世界と未来を希望ある方にすりかえる事を考えたとしよう。
実行してみて、うまく未来をすりかえたと思っているこの世界が実は予定されたこの世界を再生している姿なのだ。
希望的に未来を変えたと思っていても、実はパラレルワールドの他の希望の無い世界の未来を予知していただけなのだ。
それが未来予測だ。実はこの世界の未来予知ではなかっただけなのだ。
 
運命(事実)は忠実に運行している。もし決められているなら、どんな残酷な事も結果的にやってのけるだろう。
運命そのものは残酷であるという自覚が無いかもしれない。
人間が蟻を潰して歩いていても人間は多分気付かない。
運命の運行にひき殺されそうになったとしても、運命は気付かない。気付いても止めないだろう。
ひき殺されるかひき殺されないかはすでに決まっていて、運行を止めようが止めまいが時が流れたのちの結果は同じだからだ。
未来予知者は諦めるしかないのだ。
 
一時的に時が止まっても、一時的にすべてのものが止まっているので、時が止まった事に気付くものはいない。空気も、真空の空間も、すべての意識も、止まるので、誰も身動きはとれない。巻き戻ししてもまた同じ内容が再生されるだろう。
また、巻き戻された事も同じように再生されるので、無限ループが発生する。あるいは巻き戻された事には気付かないだけかもしれない。私は知らない。
現在「ずっと時が進んでいる」事を感じているという事は、現在再生中の世界が無限ループに巻き戻されているという事はないはずだ。
なので時の進行は一方通行だと言われている。
でも気付いてないだけで何度も巻き戻されているかもしれない。あまりにも長い時なのでまだ巻き戻される未来に到達していないだけかもしれない。
宇宙が生まれたときから宇宙が滅ぶまでを何度も巻き戻し、あるいは頭出ししながら再生している可能性はある。我々が気付いてないだけで。
再生している者がいつ飽きて停止するかもわからない。そのときこそすべてのもののニルヴァーナ涅槃寂静)なのだ。