キリストは福音書中、度々自分の事を「人の子(アダムの子)」と言っています。
これは旧約聖書の「イスラエル民族の預言者」を呼ぶときの代名詞です。
キリストははじめ、イスラム教がそういう位置付けをしているように、「1人の預言者」として人々に接してきたのでしょう。
神、あるいは神の子と告白するまでは。
人の子という一人称について、キリストが嘘をついていないなら、
神、あるいは聖霊が アダム(人)であるか、
聖母マリアが アダム(人)であるか、
という事になる。
聖霊が「人」であるならそれがキリスト教にとって問題で、
「聖霊は人であるならその人とは誰であるか」とか、
聖母マリアが聖ヨセフとの結婚前に普通性交でイエスを産んだという事になり、
おとめが身ごもって出産というゾロアスター教の救世主の属性が無くなってしまう。
聖母マリアが聖霊による出産のあと聖ヨセフとの性交や聖ヨセフが亡くなったあと誰かとの性交があったなら、
イエスが母マリアを忌み避けていた理由の裏付けにもなる。
おとめが身ごもってというのを大真面目に書いているのだから、当然「普通性交による出産説」は初期キリスト教の意思ではないだろう。
だったら人(アダム)とは、聖母マリアの事だろうか?
ユリウス・シラーのキリスト星図には、
七曜それぞれに乗るひとがいるのだが、
黄金の鎌を持つアダムは土星の上に乗り、その隣(妻の位置。端。)に、月を踏む聖母マリアが居る。
エヴァはカメレオン座と風鳥座と蜜蜂座に位置するので、黄道十三宮を巡る7曜には接する事が無い。
多分ユリウス・シラーは人の子をアダムの子と位置付け、アダムを聖霊あるいは神とし、聖母マリアをその妻としての位置に置いている可能性がある。
当然アダムの農業としての鎌は、土星サトゥルヌスが農業の神である為に、土星の位置にアダムを置いているという理由もある。
サトゥルヌスの妻はレア(Rhea。という名前の女神。オプス。キュベレ。)なので、
エヴァがレアだったのが、キリスト教が蔓延してから、聖母マリアがレアであり、月の処女神であるという事になる。
イスラエル(ヤアコブ)の最初の妻も日本語ではレア(Leah。ガゼル。野生の雌牛)というが、綴り(スペル)が異なる。
その人物はその妹のラケル(雌羊。レイチェル)程美人でも薄命でもないので、日本神話の木花佐久夜毘売の姉のイワナガヒメのような感じ。
キリスト教星図で、
真ん中の太陽に乗るのはキリスト
左端の月に乗るのは聖母マリア
モーゼやエリヤより右の火星に乗るのはモーゼの時代に軍事的に活躍したヨシュア
キリストの左右の水星に乗るのは預言者エリヤ
キリストの左右の木星に乗るのはモーゼ
右端の金星に乗るのはキリストの従兄弟バプテスマのヨハネ
左から、
聖母マリア、アダム、モーゼ、キリスト、エリヤ、ヨシュア、バプテスマのヨハネ
という順番になっている。
しかし銅版画なので、左右反転して描かれている可能性がある。
左右反転だと左から、
バプテスマのヨハネ、ヨシュア、エリヤ、キリスト、モーゼ、アダム、聖母マリア
という順番になる。
実際の惑星の位置は関係ない。教理上の芸術的配置だ。
聖ヨセフとエヴァのそれぞれの夫婦の立場はどうなるのだろうか?
金星に乗るバプテスマのヨハネ
新約聖書のバプテスマは1の中性形エン。つまり中性である神とキリストの事。
バプテスマのヨハネはキリストに洗礼を授けたキリストの従兄弟で、そのストイックさや話し振りなどから、預言者の再来ではないかとイスラエル人に期待された。
しかしローマ寄りだった当時のイスラエル政府は権力の危機ととらえて、ヨハネを監獄に入れた。
ヨハネはキリストに使いか手紙を送り、「貴方が救世主でしょうか?それとも次を待たないといけないのでしょうか?」と弱気になり、キリストに見捨てられている。
バプテスマのヨハネは、サロメの望みで、ヘロデ・アンティパス王の命で首をはねられる。
火星に乗るヨシュア
ヨシュアはイエスのヘブライ語読み。旧約聖書のモーゼの時代の将軍のようなひと。イエスの名前の元になった人物。彼がいないとイスラエルやユダヤ人の発展も、キリスト教も、無い。
太陽に乗るキリスト
キリスト
エリヤとモーゼは神の左右に というイスラエルの大人物達。
木星に乗るモーゼ
モーゼは旧約聖書の出エジプト記に出てくるイスラエル民族出生の、義理のエジプトの王子。
イスラエル民族をエジプトの奴隷の境遇から解放した。
食パンみたいな十戒の石板を持つ。
水星に乗るエリヤ
エリヤは旧約聖書に出てくる最も有名な預言者のひとり。フェニキアのバアルを信仰する異教徒にYHWHの奇跡の法力で勝ち、多神教よりYHWHの方が強いと旧約聖書で示している。
土星に乗るアダム
アダムは旧約聖書最初の創世記の神話で、1番最初に神々によって土で作られた「人間。人。」
最初にはじめた仕事はパンを得る為の農業。その為黄金の鎌を持って描かれている。
月に乗る聖母マリア
聖母マリアはキリストを聖霊によって身籠って産んだとされ、その新約聖書最初の属性はペルシアのゾロアスター教寄り。
当時のイスラエルはローマ帝国寄りで、イスラエル国王の名前もヘロデ(ギリシアの女神ヘラに由来する)。
キリスト教は結果的にローマを懐柔して教皇はローマ教皇になったので、キリスト教の象徴文化の中枢はゾロアスター教からギリシア・ローマ神話にトレースされてしまう。